アル、と、時折、アルヴィンと呼ぶ前に、一回、差し挟んで呼び掛けるようになってきた事に、気がついた。
大概は、俺が弱っている時。
そして、腕の中で熱に浮かされ、無意識に口に上らせているだろう時。
どちらの名前でも変らない、アル、の響き。
どうしても、全く違う偽名を選びきれなかった、己の甘さ。
名前を捨てることで、全ての過去を忘れ去り、虚構にまみれた世界を生きようとしながらも、否定しきれなかった己の幸せだった時の、よすがとなる響き。
意味合いが重なるその響きを、過去の自分も、今の自分も知っているジュードが口にする時、赦されている、と感じる自分の存在を、紛れもなく感じた。
どちらの名前もが、今の自分、アルヴィンという男を形作るものなのだと、教え諭され、なだめられている気分になるのだ。(←要考)
手放せない、と。かなわないと思うのは、こんな瞬間だ。
そして、愛されているのだと、そう認識させてくる
[駄目だ眠い。寝よう]

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